[映像クリエイター田所貴司の仕事]

全国初! 氷像への
プロジェクション・マッピング

プロジェクション・マッピングは東京駅の駅舎への投影や、「さっぽろ雪まつり」での雪像への投影で話題になっている。北海道紋別市で開催された「第53回もんべつ流氷まつり」の氷像へのマッピングは、全国でも初の試みとして2月7・8日の2日間、計4回行われた。
氷像はタイにある「チャクリー・マハー・プラサート宮殿」をモデルにしたもので、氷柱5200本を使って彫像された幅21m、高さ10mという巨大スケール。「氷点下10℃以下になるなか、わざわざ見にきてもらうのだから」と、上映時間はマッピングでは長めの10分間。制作に与えられた期間は約1カ月。宮殿の実物画像や3Dモデル画像、氷像の設計図をもとに、制作に10日間、編集に10日間、MA(音入れ)と最終チェックに10日間という集中スケジュールになった。
「夜間の屋外で氷に映像を映すというとても難易度の高いプロジェクトでした。通常とは異なる光の反射やフォーカスなどを考慮しながら制作を進め、現地で最終調整をしました。投影には宮殿正面のメインの部分を使いましたが、投影しない屋根の部分に見せたい絵がいってしまうなどして、修正を重ねました」

■地元の子どもが描いた約700匹の魚を投影

『KIDS ART SEA ADVENTURE』というタイトルの作品は、オホーツク海の流氷を砕いて進む砕氷船「ガリンコ号」に乗って冒険が始まるというストーリー。紋別市内の子どもたちが描いた数百匹の魚がEXFREAで新しく立ち上げた編集スタジオ「ZERONOX」にある編集機“Flame Premium”で合成され、ヒレや尾を元気よく動かしながらいっせいに泳いでいく。BGMの後半部分には地元の中学・高校の吹奏楽部による演奏をのせた。
「背景のコンテは、細かく描いたものを出してほしいと言われたので、いつもより細かく緻密に描いています(笑)。こちらが提案したものをほぼそのまま採用していただきました」

開催時は1回あたり1300〜1400人が集まり、流氷の町・紋別ならではのイベントにわく人々の様子が地元メディアや個人投稿の動画サイトなどで紹介された。
「暗い屋外では強い光が必要ですが、投影するのが氷なので、強すぎると乱反射してしまいます。プロジェクターを使い、投影された映像が窓の縁などにぴったり合うよう調整しました。ただ、時間の経過とともに氷像が全体の重さによって少しずつ圧縮されて微妙にズレてしまうので、上映するたびに微調整を行いました。当社にとってもよい経験をさせていただいたと思います」


この巨大な氷像建築がスクリーンとなる


3Dモデル画像


オホーツクの流氷を砕いて進む「ガリンコ号」


ファンタジックな世界を映し出す氷像建築